機械セクターは「防衛・航空」と「自動化・農機」の両輪が同時に回る稀な好況局面にある。三菱重工(PER47)・IHI(PER51)・川崎重工は、防衛費GDP2%への増額と防衛装備の長期契約化を背景に受注残が数年分積み上がり、IHIはGE・P&W向け民間航空エンジンのアフターマーケット(整備・スペアパーツ)が需要回復で利益を牽引してPERが50倍超に買われている。一方SMCは空圧機器で世界シェア約4割・営業利益率24%という他の重厚長大とは別格の高収益体質を持つ「設備投資の体温計」、クボタは北米農機の在庫調整と高金利で足元は逆風という、同じ機械でも収益構造がまったく異なるのが実態。
防衛・航空勢は受注残が業績を数年裏打ちし、エンジン整備・防衛MROというストック収益への構造転換が進むため、PER50倍は一時的な「特需」ではなく利益成長の持続性を織り込んだ評価へ移行しつつある。リスクは航空エンジンの開発・整備コスト膨張(IHIのスペアパーツ品質問題やGTF系トラブルの尾)と、防衛予算の執行ペース・人手不足による生産能力の天井。SMCは半導体・EV向け設備投資の回復ピッチ次第、クボタは北米金利低下と農機在庫の正常化が反転トリガーで、円安は防衛輸出・農機輸出・SMCの海外収益すべてに追い風として効き続ける。