KDDI9433有報もと概算
- 研究開発費は373億円。売上のわずか0.6%で、通信は設備で戦う商売
- 総資産が1年で2.7兆円増え、通信以外への投資が進んだ
- 営業利益は+16.3%。同期に減益だったNTTとは対照的
01KDDIは、何で儲けている会社?
A. auの月額料金と、その周りに足したサービス。パーソナルが利益の8割弱
KDDIの商売の仕組み — 誰から誰へ、お金が動くか
細かいところは、画面をピンチで拡大して見てください
KDDIのエコシステム — 仕入れ、つくり、届くまで
仕入先から、部品や素材が入ってくる
個人向け(パーソナル)が利益の柱
セグメント利益は8,771億円で、全社1.12兆円の8割弱。携帯の月額料金に、決済・保険・電力などを重ねて1人あたりの単価を上げている。
法人(ビジネス)が第二の柱
セグメント利益2,330億円。企業のネットワークやDXを請け負う領域で、個人市場が頭打ちのなか伸びしろとされている。
研究より設備でつくる強さ
研究開発費は373億円で売上の0.6%。基地局や回線という設備そのものが競争力であり、SIerやメーカーとは費用のかけ方がまるで違う。
02売上5.92兆円は、何でできている?
A. 個人向けが中心。そこに法人が続く。
ここでは売上ではなくセグメント利益の構成を並べた。KDDIは売上より「どこで利益が出ているか」で性格がはっきり分かれるため。
総資産は14.1兆円から16.9兆円へ2.7兆円増加。通信設備だけでなく、金融や非通信領域への投資が資産を押し上げている。
03なぜKDDIは増益できた?
A. 通信の外側を積み増したから。
同じ年に、NTTは減益・KDDIは増益
25/3期の営業利益はNTTが▲14.2%だったのに対し、KDDIは9,616億円から1兆1,187億円へ+16.3%。同じ通信業でも結果が割れた年だった。
月額料金の外にサービスを足す
決済・保険・電力といった非通信を同じ顧客基盤へ載せる。1人の契約者から受け取る金額を増やすのが、契約数が伸びない市場での成長のさせ方になる。
04いま、何と戦っている?
同期の実績より
A. 契約数の頭打ちと、増える資産。
国内の契約はもう大きくは増えない
人口減で新規契約の伸びは限られる。1人あたりの単価と法人・非通信をどこまで積めるかが成長の条件になる。
1年で2.7兆円増えた資産をどう回すか
総資産は16.9兆円。ROEは13.2%を保っているが、資産の増加に見合う利益を出し続けられるかが問われる。
05他の通信会社と、何が違う?
A. 通信の外側の積み方。
| KDDI | NTT | ソフトバンク | |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5.92兆円 | 13.7兆円 | 6.54兆円 |
| 営業利益 | 1.12兆円 | 1.65兆円 | 9,890億円 |
| 営業利益率 | 18.9% | 12.0% | 15.1% |
| ROE | 13.2% | 10.0% | 20.5% |
| 研究開発費 | 373億円 | 2,687億円 | 739億円 |
各社の25/3期 有価証券報告書より。営業利益率は営業利益÷売上収益。
06なぜ営業利益が1,571億円増えた?
A. 売上が1,639億円増え、費用の増加をわずかに上回った。
売上収益は5兆7,540億円から5兆9,180億円へ+1,639億円、営業利益は9,616億円から1兆1,187億円へ+1,571億円。増えた売上がほぼそのまま利益になった計算で、費用がほとんど増えなかったことを意味する。
通信は設備を敷き終えると、契約が増えても費用があまり増えない。同じ設備の上に何を載せるかで利益が決まる商売であることが、この年の数字によく表れている。
| 指標 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5.31兆円 | 5.45兆円 | 5.67兆円 | 5.75兆円 | 5.92兆円 |
| 親会社帰属利益 | 6,515億円 | 6,725億円 | 6,791億円 | 6,379億円 | 6,857億円 |
| ROE | 14.2% | 13.8% | 13.4% | 12.3% | 13.2% |
| 総資産 | 10.5兆円 | 11.1兆円 | 11.9兆円 | 14.1兆円 | 16.9兆円 |
売上は5年で1.11倍と穏やか。一方で総資産は6.3兆円増えており、通信以外への投資が続いている。
--まとめ
KDDIは、auの月額料金という土台に、金融・電力・法人サービスを重ねて稼ぐ会社。25/3期は増収がほぼそのまま増益になり、通信が「設備を敷き終えたあとが強い」商売であることを示した。増え続ける資産をどう回すかが次の焦点。
- 第二の柱はあるか(本業の隣で稼ぐ仕組み)
- 1個あたりに割るといくらか(規模の錯覚を外す)
- 連結の外に誰がいるか(勢力圏は関係会社の欄に出る)
出典: KDDI 第41期 有価証券報告書(EDINET S100VXGZ・2025年6月13日提出)。株価・PER等のマーケット情報は詳細ページにある。
07同じ業界のほかの会社
- ソフトバンクグループ営業利益率 73.1%
- 野村総合研究所営業利益率 17.6%
- ソフトバンク営業利益率 15.2%