日東電工6988有報もと概算
東証プライム・素材・化学|2025年3月期 通期
¥3,147 ▲40(+1.29%)
時価総額 2.14兆円|2026年6月26日時点
概要詳細
日東電工は「Nitto」ブランドで知られる高機能材料メーカー。スマホ・テレビ向け偏光板など光学フィルムで世界トップシェアのオプトロニクス事業を中核に、半導体・電子部品向けの工程材料や自動車・建材向け機能性テープのインダストリアルテープ事業、メディカル(経皮吸収型テープ製剤)・核酸医薬などのヒューマンライフ事業を展開する。粘着・コーティング・ポリマーの基盤技術を多様な用途に展開する「三新活動(新用途・新製品・新需要創造)」が経営の軸。
稼ぐ力|営業利益率
A(高い)18.3%
業種平均 10.9%
成長|売上成長率
A(高い)+10.8%
業種平均 5.3%
効率|ROE
A(高い)13.1%
業種平均 7.5%
体力|自己資本比率
S(際立つ)78.9%
安定の目安 40.0%
割安さ|PER
B(標準)15.6倍
業種平均 23.4倍
還元|配当利回り
B(標準)1.8%
一般的な目安 2.0%
要旨素材・化学の平均を上回る収益力。売上は堅調に増加、財務はきわめて厚い。
評価は S(際立つ)/ A(高い)/ B(標準)/ C(低め)/ D(弱い)の5段階。業種平均と一般的な目安による機械的な判定で、売買の推奨ではありません。
01何で儲けているのか
売上の約52%は「オプトロニクス」が占め、この事業の利益率は28.8%。全社の営業利益率は18.3%です。
売上はどこから1.01兆円
オプトロニクス5,200億円・52%インダストリアルテープ3,600億円・36%ヒューマンライフ1,200億円
↓ この売上から
何にいくら使い、いくら残ったか残り=営業利益 1,857億円(18.3%)
費用8,283億円・82%利益1,857億円・18%
↓ 残った1,857億円は、どの事業が稼いだか
利益の内訳セグメント計 2,020億円
オプトロニクス1,500億円・74%インダストリアルテープ520億円・26%
オプトロニクスは売上の52%で、利益の74%を稼ぐ。赤字のヒューマンライフ(-120億円)は帯に含めていない。セグメント計は全社・消去項目を含まないため連結(1,857億円)と一致しない。
提供価値
「三新活動(新製品・新用途・新需要)」とニッチトップ戦略で、汎用品ではなく高機能ニッチ製品に資源を集中。スマホ/中小型パネル向け偏光板で世界有数のシェア(業界2位)を持ち、フレキシブルプリント基板(FPC)の回路材料やニッチ機能材で高シェアを握る。テープ・電子材料からメディカル(経皮吸収・核酸医薬)まで横展開し、核酸医薬原薬の受託製造(Nitto Denko Avecia)では世界トップシェア。海外売上比率約8割、営業利益率18%超(過去最高水準)の高収益素材メーカー。
仕入れ先・パートナー
フィルム基材
富士フイルム / コニカミノルタ等のTACフィルムメーカー
偏光板用TAC(トリアセチルセルロース)・PETベースフィルム
光学材料の主原料
ヨウ素・PVA
クラレ / ヨウ素サプライヤー(千葉・チリ)
偏光膜用ポリビニルアルコール(PVA)・ヨウ素
粘着・樹脂原料
石化・アクリル樹脂メーカー(三菱ケミカル等)
粘着テープ用アクリル樹脂・ベースポリマー
銅箔・ポリイミド
FPC材料サプライヤー
フレキシブル回路基板用の銅箔・ポリイミド
API・核酸原料
医薬原薬・オリゴ核酸受託先
経皮吸収製剤の原薬・核酸医薬の原料モノマー
日東電工(コア活動)
光学フィルム(偏光板)
インダストリアルテープ+オプトロニクス主力スマホ/タブレット/車載用ディスプレイ向け偏光板を高歩留りで量産し、薄型・高耐久の偏光フィルムを供給
偏光板で世界2位/高シェアOLED/車載対応ロールtoロール塗工
↓
機能性テープ・粘着技術
「分子設計×塗工技術」を核に、産業用テープ・FPC・半導体保護材など高機能粘着製品を展開
ニッチトップFPC回路材料半導体プロセス材
↓
メディカル(経皮吸収・核酸医薬)
成長領域粘着技術を応用した経皮吸収型製剤(貼る薬)と、Avecia買収で得た核酸医薬の受託製造(CDMO)を育成し、核酸医薬原薬受託で世界トップシェア
経皮吸収製剤核酸医薬CDMOで世界トップシェア高付加価値
↓
三新活動・R&D
新製品・新用途・新需要を生み出す「三新活動」で常に高付加価値ニッチ市場へ先行投資
三新活動ニッチトップ戦略技術の横展開
顧客セグメント
スマホ/パネル
Samsung Display / LG Display / 中国パネルメーカー
スマホ・タブレット・OLED向け偏光板・光学フィルム
偏光板で世界有数の高シェア(業界2位)
車載ディスプレイ
自動車メーカー・車載ディスプレイサプライヤー
車載パネル用の高耐久偏光板・機能フィルム(成長分野)
電子部品
スマホ・電子機器メーカー(FPC実装)
フレキシブルプリント基板(FPC)の回路材料・半導体保護テープ
FPCで高シェア
産業・インフラ
電機・自動車・建材メーカー
工業用粘着テープ・シール材・水処理用ロ過膜(RO膜)
ヘルスケア
製薬会社・医療機関
経皮吸収型貼付剤・核酸医薬の受託製造(CDMOで世界トップシェア)
コストフロー(仕入れ先へ)
売上原価+販管費 約8,280億円
売上フロー(顧客から)
売上収益 約1兆140億円
営業利益
営業利益 約1,860億円(約18%)
02強みと、見ておくべきリスク
競争優位性
偏光板をはじめとする光学フィルムでの圧倒的な世界シェアと、粘着・高分子技術を核にした幅広い製品ポートフォリオ。ニッチトップ戦略により高い収益性を確保し、自己資本比率約79%・実質無借金の極めて健全な財務基盤を持つ。円安局面では海外売上比率の高さが追い風となる。
主なリスク
スマートフォン・テレビ市場の需要変動が光学フィルム事業の収益を大きく左右する。円高進行による海外収益の目減り、ヒューマンライフ(核酸医薬・メディカル)事業の先行投資による赤字継続、中国・韓国メーカーとの価格競争、原燃料価格の高騰。