信越化学工業4063有報もと概算
東証プライム・素材・化学|2026年3月期 通期
¥5,820 ▲60(+1.05%)
時価総額 11.6兆円|2026年6月26日時点
概要詳細
信越化学工業は、塩化ビニル樹脂(米シンテック)で世界シェアトップ、半導体ウエハーでも世界シェア約3割を握る総合化学メーカー。塩ビ・シリコーン等の「生活環境基盤材料」と、半導体シリコン・フォトレジスト等の「電子材料」を二本柱に、機能性化学品・加工事業を加えた構成。製造業として高水準の約25%の営業利益率を維持する。
稼ぐ力|営業利益率
S(際立つ)24.7%
業種平均 10.9%
成長|売上成長率
B(標準)+2.4%
業種平均 5.3%
効率|ROE
A(高い)10.2%
業種平均 7.5%
体力|自己資本比率
S(際立つ)78.7%
安定の目安 40.0%
割安さ|PER
C(低め)24.4倍
業種平均 23.4倍
還元|配当利回り
B(標準)1.8%
一般的な目安 2.0%
要旨素材・化学の平均を上回る収益力。成長は緩やか、財務はきわめて厚い。
評価は S(際立つ)/ A(高い)/ B(標準)/ C(低め)/ D(弱い)の5段階。業種平均と一般的な目安による機械的な判定で、売買の推奨ではありません。
01何で儲けているのか
売上の約41%は「生活環境基盤材料」が占め、この事業の利益率は22.9%。全社の営業利益率は24.7%です。
売上はどこから2.55兆円
生活環境基盤材料1.05兆円・41%電子材料9,200億円・36%機能性化学品3,000億円加工・商事・その他2,800億円
↓ この売上から
何にいくら使い、いくら残ったか残り=営業利益 6,350億円(24.9%)
費用1.92兆円・75%利益6,350億円・25%
↓ 残った6,350億円は、どの事業が稼いだか
利益の内訳セグメント計 6,350億円
生活環境基盤材料2,400億円・38%電子材料2,900億円・46%機能性化学品600億円
電子材料は売上の36%で、利益の46%を稼ぐ。細い帯=加工・商事・その他。
提供価値
塩化ビニル(米シンテック)と半導体シリコンウェーハ(信越半導体)の双方で世界首位。米シェールガス由来の原料で塩ビを世界最安級コストで量産し、ウェーハは世界シェア約3割。化学メーカーとして異例の営業利益率29%を誇る高収益企業。
仕入れ先・パートナー
原料(塩ビ)
米シェールガス事業者 / エチレンサプライヤー
エチレン・塩素(VCMの主原料)
シンテックの低コスト競争力の源泉
電力・エネルギー
米国・日本の電力/ガス会社
電気分解・重合プロセス用の大量電力
高純度シリコン
ポリシリコン・原料ガスメーカー
シリコンウェーハ用の高純度多結晶シリコン
希土類原料
レアアース調達先(中国等)
ネオジム磁石用のネオジム・ジスプロシウム
設備・装置
結晶引上・研磨装置メーカー
単結晶引上炉・ウェーハ研磨/CMP装置
信越化学工業(コア活動)
塩ビ(シンテック)
生活環境基盤材料 売上 約1.04兆円米テキサス・ルイジアナでシェールガス由来原料から塩ビを世界最大規模で量産(年産364万トン)
世界シェア首位シェールガス活用低コスト一貫生産
↓
半導体シリコンウェーハ
電子材料 主力信越半導体(SEH)が300mmウェーハを高品質量産し最先端ロジック・メモリの土台を供給
世界シェア約30%(首位)300mmウェーハ結晶引上・研磨技術
↓
機能材料・シリコーン
シリコーン・合成石英・フォトレジスト・フォトマスクブランクスなど高機能材料を製造
シリコーンEUVフォトレジスト合成石英希土類磁石
↓
研究開発・現場改善
汎用品でも徹底した日々のカイゼンと素材技術R&Dで圧倒的な原価競争力を維持
プロセス改善高純度化技術省エネ・歩留り
顧客セグメント
建材・インフラ
北米の建材・配管メーカー
塩ビ管・サイディング・窓枠等の住宅/インフラ用樹脂
塩ビは売上の最大セグメント
半導体メーカー
TSMC / Samsung / Intel
最先端ロジック・メモリ向け300mmシリコンウェーハ
ウェーハ世界シェア約30%
電子部品・産業
電機・自動車・電子部品メーカー
シリコーン・封止材・希土類磁石(EVモーター用)
EUVリソグラフィ
先端半導体プロセス採用ファブ
EUV用フォトレジスト・合成石英・マスクブランクス
海外市場
米国・アジア・欧州
塩ビ・ウェーハともに海外売上が大半を占める
海外売上比率 約7割
コストフロー(仕入れ先へ)
売上原価+販管費 約1.82兆円
売上フロー(顧客から)
売上高 約2.56兆円
営業利益
営業利益 7,421億円(29.0%)
02強みと、見ておくべきリスク
競争優位性
塩ビ(米シンテックの圧倒的コスト競争力)と半導体ウエハー(世界シェア首位級)という、市況耐性の異なる2大事業のポートフォリオ。徹底した低コスト・高稼働の生産体制と無借金経営に近い財務健全性(自己資本比率約79%)が、市況下落局面でも高収益を支える。
主なリスク
半導体メモリ市況の変動によるウエハー需要の振れ、米国住宅市場の金利動向に左右される塩ビ需要、円高進行による海外収益の目減り、原燃料価格の高騰。2026年3月期は市況低迷で営業利益・純利益とも二桁減益となり、設備投資負担の増大も中期的な収益圧迫要因。