富士通6702有報もと概算
- 売上の62%はサービス。ハードの会社からの転換が数字に出た
- 調整後営業利益の76%をサービスソリューションが稼ぐ
- 営業利益は1,493億円から2,651億円へ+77.5%
01富士通は、何で儲けている会社?
A. 企業や役所のシステムを、つくって預かること。パソコンやサーバーの会社ではなくなった
富士通の商売の仕組み — 誰から誰へ、お金が動くか
細かいところは、画面をピンチで拡大して見てください
富士通のエコシステム — 仕入れ、つくり、届くまで
仕入先から、部品や素材が入ってくる
サービスが売上の62%
サービスソリューションの売上は2.21兆円で全体の62%。システムの設計・構築から運用の受託までが本体になっている。
利益ではもっと偏る
調整後営業利益はサービス2,900億円・ハード613億円・ユビキタス314億円。利益の76%がサービスで、売上以上に依存が強い。
ハードは残るが主役ではない
ハードウェアソリューション1.05兆円、パソコン等のユビキタス2,515億円。合わせて売上の3分の1強だが、利益率はサービスに及ばない。
02売上3.55兆円は、何でできている?
A. サービスが6割、ハードが3割。
サービスの利益率は調整後で13.1%、ハードは5.8%。同じ売上でも、サービスのほうが2倍以上の利益を残す。
研究開発費は1,012億円で売上の2.9%。設備で戦う通信会社とも、部品で戦うメーカーとも違い、人の時間が原価の中心になる商売にあたる。
03なぜ富士通は利益が伸びた?
A. 売る中身をサービスへ寄せたから。
営業利益が1年で77.5%増えた
1,493億円から2,651億円へ。売上は3.48兆円から3.55兆円と2%しか伸びていないので、増えたのは利益率のほうだと分かる。
受託は「人の時間」を売る商売
原価の中心は人件費と外注費。案件の単価を上げるか、同じ人数で多くをこなすか——この2つでしか利益率は上がらない。
04いま、何と戦っている?
同期の実績より
A. 人手不足と、価格の見直し。
受託は人が増えないと売上が増えない
システム開発は人の時間が原価。人を採れなければ売上の上限が決まるという、製造業とは違う制約がある。
ハードからサービスへの移行を続けられるか
利益の76%はすでにサービス。残るハード事業をどう位置づけるかが経営の判断どころになる。
05他のSIerと、何が違う?
A. ハードを持ったまま、サービスへ寄せたこと。
| 富士通 | NEC | NTTデータ | 野村総研 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3.55兆円 | 3.42兆円 | 4.64兆円 | 7,648億円 |
| 営業利益 | 2,651億円 | 2,565億円 | 3,239億円 | 1,349億円 |
| 営業利益率 | 7.5% | 7.5% | 7.0% | 17.6% |
| ROE | 12.6% | 9.1% | 8.0% | 22.5% |
| 25/3期の増減 | +77.5% | +36.4% | +4.6% | +12.0% |
各社の25/3期 有価証券報告書より。
06なぜ営業利益が77.5%も増えた?
A. 売上は2%しか増えていない。増えたのは利益率。
売上収益は3兆4,770億円から3兆5,501億円へ+2.1%にとどまる一方、営業利益は1,493億円から2,651億円へ+77.5%。同じ規模の商売で、残る利益だけが増えた年だった。
ただしROEは15.2%から12.6%へ低下している。営業利益が増えても最終利益(親会社帰属2,198億円)は前期の2,545億円を下回っており、営業の外で目減りしたことになる。
| 指標 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3.59兆円 | 3.59兆円 | 3.71兆円 | 3.48兆円 | 3.55兆円 |
| 親会社帰属利益 | 2,027億円 | 1,827億円 | 2,152億円 | 2,545億円 | 2,198億円 |
| ROE | 15.1% | 12.0% | 13.5% | 15.2% | 12.6% |
| 総資産 | 3.19兆円 | 3.33兆円 | 3.27兆円 | 3.51兆円 | 3.50兆円 |
売上は5年ほぼ横ばい。規模を追わず、中身をサービスへ入れ替えてきた5年だったと読める。
--まとめ
富士通は、ハードの会社からシステムを預かる会社へ移ってきた。売上の62%・利益の76%はすでにサービスで、25/3期は売上2%増に対して営業利益が77.5%増えた。人が増えないと売上が増えない商売のなか、単価と生産性をどう上げるかが続く課題になる。
- 第二の柱はあるか(本業の隣で稼ぐ仕組み)
- 1個あたりに割るといくらか(規模の錯覚を外す)
- 連結の外に誰がいるか(勢力圏は関係会社の欄に出る)
出典: 富士通 第125期 有価証券報告書(EDINET S100W1DS・2025年6月20日提出)。株価・PER等のマーケット情報は詳細ページにある。
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