SUBARU7270有報もと概算
- 売上台数93.6万台のうち66.2万台(7割)が米国
- 台数はトヨタの10分の1。それでも1台あたり営業利益は約43万円で肩を並べる
- もう一つの顔は航空宇宙(売上1,116億円)
01SUBARUは、何で儲けている会社?
A. 米国で売るための会社。売上台数の7割が米国
SUBARUの商売の仕組み — 誰から誰へ、お金が動くか
細かいところは、画面をピンチで拡大して見てください
SUBARUのエコシステム — 仕入れ、つくり、届くまで
仕入先から、部品や素材が入ってくる
10台のうち7台が米国
25/3期の売上台数93.6万台のうち、米国が66.2万台。有報は2025年3月に米国で「販売する自動車ブランドの中で唯一、32か月連続で前年同月超え」を記録したと書いている。
売る場所でつくる
米国売上台数の50%超を現地生産(スバル オブ インディアナ)。日本からの輸出と現地生産の二本立てで、為替と関税の振れを和らげる形になっている。
航空宇宙という、もう一つの顔
売上1,116億円の航空宇宙事業を持ち、防衛省向けの航空機やボーイング向けの部品を手がける。自動車の景気と連動しにくい柱として残っている。
02売上4.69兆円は、何でできている?
A. 98%が自動車。残りが航空宇宙。
営業利益4,053億円を売上台数93.6万台で割ると1台あたり約43万円。トヨタの自動車事業(約42万円)とほぼ同じで、台数が10分の1でも、1台あたりでは肩を並べている。
台数を追わず、米国で選ばれるブランドを維持する——という戦い方が、この1台あたりの数字に表れている。
03なぜSUBARUは強い?
A. 米国の一部の顧客に、深く刺さっているから。
12年連続で販売を伸ばした実績
有報によれば2008年からコロナ禍前の2019年まで12年連続で小売販売が前年を超え、販売台数は約3.7倍になった。安全性能や四輪駆動といった特徴が、米国の特定の層に支持された結果とされる。
強さの源が、そのまま弱さになる
米国依存は好調時には効率がよいが、関税・為替・現地の景気がそのまま業績に直結する。トヨタのように地域を分散していない分、1つの市場の変化に対する耐性は低い。
04いま、何と戦っている?
有報の記載および同期の実績より
A. 米国という一本足。
米国の関税がそのまま効く構造
売上台数の7割が米国で、そのうち現地生産は5割強。残りは日本からの輸出にあたるため、関税や為替の変動が利益に直結しやすい。
25/3期は減収減益
売上収益は4.70兆円から4.69兆円へ微減、営業利益は4,682億円から4,053億円へ▲13.4%。台数を伸ばしてきた流れが一度止まった年だった。
05他の自動車会社と、何が違う?
A. 規模を追わず、1台あたりで勝つこと。
| SUBARU | トヨタ | ホンダ | スズキ | |
|---|---|---|---|---|
| 台数 | 93.6万台 | 936万台 | 372万台(四輪) | 329万台(生産) |
| 1台あたり営業利益 | 約43万円 | 約42万円(自動車事業) | 約6.6万円(四輪事業) | 約19万円 |
| 営業利益率 | 8.6% | 10.0% | 5.6% | 11.0% |
| 主戦場 | 米国(台数の7割) | グローバル全域 | 北米・アジア | インド |
| 第二の柱 | 航空宇宙 | 販売金融 | 二輪・金融 | 二輪・マリン |
各社の25/3期 有価証券報告書より。台数の開示区分(販売/生産/グループ)は各社で異なるため、単純比較はできない。
06台数はトヨタの10分の1。なのに1台あたりの稼ぎは同じ?
A. ほぼ同じ。93.6万台で4,053億円=1台あたり約43万円。
トヨタは936万台で自動車事業の営業利益3.94兆円、1台あたり約42万円。SUBARUは93.6万台で4,053億円、1台あたり約43万円。台数が10倍違っても、クルマ1台から得る利益はほぼ同じという結果になる。
規模の大きさは調達や開発の効率で効くが、1台あたりの利益は「どんな車を、どこで、いくらで売るか」で決まる。SUBARUが米国のブランド価値を守ることに集中しているのは、この数字の作り方の違いによる。
| 指標 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2.83兆円 | 2.74兆円 | 3.77兆円 | 4.70兆円 | 4.69兆円 |
| 親会社帰属利益 | 765億円 | 700億円 | 2,004億円 | 3,851億円 | 3,381億円 |
| ROE | 4.4% | 3.8% | 10.0% | 16.5% | 12.8% |
| 総資産 | 3.41兆円 | 3.54兆円 | 3.94兆円 | 4.81兆円 | 5.09兆円 |
| 従業員 | 3.6万人 | 3.7万人 | 3.8万人 | 3.8万人 | 3.8万人 |
21/3期・22/3期はコロナ禍と半導体不足で利益が落ち込み、その後の3年で急回復した。25/3期は回復が一段落した年にあたる。
--まとめ
SUBARUは、米国で選ばれることに集中してきた会社。売上台数の7割が米国で、生産も半分以上を現地で行う。台数はトヨタの10分の1でも、1台あたりの利益はほぼ同じ。集中が強さであり、同時に関税や為替の直撃を受ける弱さでもある。
- 第二の柱はあるか(本業の隣で稼ぐ仕組み)
- 1個あたりに割るといくらか(規模の錯覚を外す)
- 連結の外に誰がいるか(勢力圏は関係会社の欄に出る)
出典: SUBARU 第94期 有価証券報告書(EDINET S100W1AE・2025年6月23日提出)。1台あたり等は同有報記載値の割り算による概算。株価・PER等のマーケット情報は詳細ページにある。