2025年度の証券業界は、JPXと野村という対照的な2極が共存する構造が際立った。日本取引所グループ(JPX)は東証の市場再編とアクティブ運用の活況・売買代金の高水準を背景に、FY2025は営業収益が前年比+22.5%の1,987億円に伸び、営業利益1,163億円(+29.0%)・営業利益率約58%とインフラ独占型の高収益性を一段と高めた(売買代金活況時には営業利益率が6割近くに達する取引所特有の低変動費モデル)。一方、野村ホールディングスは2024-25年のホールセール(トレーディング・IB)復調と、日銀利上げ・新NISA定着による国内ウェルスマネジメント(営業部門)の回復で大幅増益となり、当期純利益3,407億円の過去最高益を計上、市況依存ビジネスの「上振れ局面」を享受した。勝ち組は明確に「フローを握るJPX」と「リテール残高フィーを積み上げる野村WM部門」であり、構造的にはストック収益(運用・残高フィー)へのシフトが両社の収益質を底上げしている点が共通している。
日銀のマイナス金利解除後の金利上昇局面は、野村にとって預り資産の運用利回り・金利収益を押し上げる追い風で、新NISA経由の家計マネー流入と相まってリテール収益のストック化を加速させる。JPXは2024年11月に実施した立会取引時間の15:30延長+クロージング・オークション導入が出来高基盤を底上げしており、加えてデリバティブ拡充で取引基盤をさらに広げる一方、収益が売買代金に連動するため相場調整局面ではトップラインが揺れるリスクを抱える。最大の変数は米国金利・トランプ関税を起点とした市況のボラティリティで、野村の利益は依然トレーディング次第で大きく振れる一方、JPXは相場が荒れても約定が増えれば手数料が入る「ボラティリティ耐性」を持つ点が両社の決定的な体質差となる。